日本は世界でも一番の高齢化社会

先進国の高齢化率を比較してみると、日本は1980年代までは下位でしたが、平成17(2005)年には最も高い水準となり、世界のどの国もこれまでに経験したことのない高齢化社会を迎えています。

世界の高齢化率の推移

世界の高齢化率の推移世界の高齢化率の推移

資料:UN,World Population Prospects : The 2019 Revision
ただし日本は、2015年までは総務省「国勢調査」
2020年以降は国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成29年推計)」の出生中位・死亡中位仮定による推計結果による。

内閣府/令和2年版高齢社会白書(全体版)令和元年度/高齢化の状況及び高齢社会対策の実施状況/第1章 高齢化の状況/第1節 高齢化の状況/2.高齢化の国際的状況/図1-1-6 世界の高齢化率の推移
https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2020/html/zenbun/s1_1_2.html 2021/3/23参照
上記Webページを印刷して外部提供することはできません

また、日本の人口の1億2617万人(2019年時点)のうち、65歳以上の高齢者が総人口に占める割合(高齢化率)は28.4%となっています。これはいわゆる「団塊の世代」が65歳に達しているためで、この世代が75歳以上となる2025年には30.0%、2065年には38.4%に達すると見込まれています。1)

日本の高齢化の推移と将来推計

日本の高齢化の推移と将来推計日本の高齢化の推移と将来推計

資料:棒グラフと実践の高齢化率については、2015年までは総務省「国勢調査」、2019年は総務省「人口推計」(令和元年10月1日確定値)、2020年以降は国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成29年推計)」の出生中位・死亡中位仮定による推計結果。
(注1) 2019年以降の年齢階級別人口は、総務省統計局「平成27年国勢調査 年齢・国籍不詳をあん分した人口(参考表)」による年齢不詳をあん分した人口に基づいて算出されていることから、年齢不詳は存在しない。なお、195年〜2015年の高齢化率の算出には分母から年齢不詳を除いている。ただし、1950年及び1955年において割合を算出する際には、(注1)における沖縄県の一部の人口を負傷には含めないものとする。
(注2)沖縄県の昭和25年70歳以上の外国人136人(男55人、女81人)及び昭和30年70歳以上23,328人(男8,090人、女15,238人)は65〜74歳、75歳以上の人口から除き、不詳に含めている。
(注3)将来人口推計とは、基準時点までに得られた人口学的データに基づき、それまでの傾向、趨勢を将来に向けて投影するものである。基準時点以降の構造的な変化等により、推計以降に得られる実績や新たな将来推計との間には乖離が生じうるものであり、将来推計人口はこのような実績等を踏まえて定期的に見直すこととしている。

内閣府/令和2年版高齢社会白書(全体版)令和元年度/高齢化の状況及び高齢社会対策の実施状況/第1章 高齢化の状況/第1節 高齢化の状況/1.高齢化の現状と将来像/図1-1-2 高齢化の推移と将来推計
https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2020/html/zenbun/s1_1_1.html 2021/3/23参照
上記Webページを印刷して外部提供することはできません

注目されている健康寿命

男女ともが平均寿命で世界最高水準を達成するまでになっているなかで、いま注目されているのが「健康寿命」という考え方です。これは、介護などを必要とせず健康でいられる期間のことで、厚生労働省の発表(2019年)によると、日本人の健康寿命は男性が72.68歳、女性が75.38歳となっています。平均寿命との差は、それぞれ8.73年、12.06年もあるのです。単に長寿であるだけでなく、「いかに健康で過ごすことのできる期間を長く保つか」がとても大切といえます。

日本における健康寿命と平均寿命

日本における健康寿命 1)と平均寿命 2)

※健康寿命:日常生活に制限のない期間

資料:平均寿命は厚生労働省「令和元年簡易生命表」より算出
健康寿命は厚生労働省「令和元年簡易生命表」、「令和元年人口動態統計」、「令和元年国民生活基礎調査」、総務省「令和元年推計人口」より算出。

厚生労働省:第16回健康日本21(第二次)推進専門委員会 資料3-1 健康寿命の令和元年値について https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000872952.pdf 2023/11/06参照 より作図

国をあげての取り組み

65歳を過ぎると加齢とともに免疫機能が低下するため、感染症にかかるリスクが高くなります。いかに健康を保って寿命をのばすかは、日本でも世界でも大きな課題となっています。ご家族やお孫さん、なによりもご自身のために、“病気になったら治す”だけでなく“病気にならないように予防する”ことが、未来の健康のためにもとても大切なことです。
そのため厚生労働省は、平成25(2013)年を「健康・予防元年」と位置付け、国民の健康づくりを図り、「国民の健康寿命が延伸する社会」の実現に向けた予防・健康管理の取り組みのひとつとして、「認知症の予防」などとともに「肺炎の予防対策」を掲げています。

平成26年版厚生労働白書 ~健康・予防元年~第1部  健康長寿社会の実現に向けて ~健康・予防元年~
https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/14/dl/1-03.pdf 2021/3/23参照
上記Webページを印刷して外部提供することはできません

高齢者への介護予防等の推進

  • 介護・医療情報の「見える化」等を通じた介護予防等の更なる推進
    (※取組の推進により介護費約0.6兆円の効果額を目標)

    地方自治体が地域の実情に応じて効果的・効率的な介護予防・保健事業を行えるよう、地域単位での介護・医療関連情報の「見える化」等による介護予防等の推進。

  • 認知症早期支援体制の強化
    (※取組の推進により医療費約0.1兆円の効果額を目標)

    認知症の人が住み慣れた環境で暮らし続けられるよう、医療・介護で早期支援体制の構築

  • 高齢者の肺炎予防の推進
    (※取組の推進により医療費約0.7兆円の効果額を目標)

    高齢者の誤嚥性肺炎の予防に向けた口腔ケア、成人用肺炎球菌ワクチン接種の推進

  • 生涯現役社会の実現に向けた環境整備等

    高齢者と地域社会のニーズの有効なマッチングの仕組みの整備等を支援、シルバー人材センターの活用

平成26年版厚生労働白書 ~健康・予防元年~第1部  健康長寿社会の実現に向けて ~健康・予防元年~ 第3章 健康寿命の延伸に向けた最近の取り組み 図表3-1-27
https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/14/dl/1-03.pdf 2021/3/23参照 より作図
上記Webページを印刷して外部提供することはできません

生活習慣を見直す、運動器を鍛える、脳機能の低下を防ぐ、口腔ケアの充実など、私たちができることはいくつもありますが、肺炎球菌による感染症を予防する「予防接種」も健康寿命をのばすため、未来の健康ための、大切な選択肢のひとつです。

1)内閣府/令和2年版高齢社会白書(全体版)令和元年度/高齢化の状況及び高齢社会対策の実施状況/第1章 高齢化の状況/第1節 高齢化の状況/1.高齢化の現状と将来像/図1-1-2 高齢化の推移と将来推計
https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2020/html/zenbun/s1_1_1.html 2021/3/23参照
上記Webページを印刷して外部提供することはできません

監修 国立大学法人長崎大学 学長 河野 茂 先生

2023年12月作成 PRV45N021A